NO.39
甲田雅人
039_main.jpg

皆さん、はじめまして☆ 甲田 雅人と申します。
まだまだ駆け出しの新米作家ですので、殆どの方に初めてお目に掛かると思われます。折角ですのでこの機会に「作編曲界のオダギリジョー」と覚えてください!先日、久し振りに会った元同僚(女性)に、「甲田さん、イメージ変わりましたねぇ。オダギリジョーみたいですよ!」と言われたことに気を良くして、それからこのフレーズを乱発しております。何とか、このフレーズを定着させたいところですので、ご協力お願い致します!(オダギリジョーさん、ファンの皆様ゴメンなさい…冗談ですから…)

現在、私はフリーランスの作家として、ゲーム音楽を中心に活動しております。フリーになってから3年余りですが、それまではゲームメーカーで作曲をしておりました。作家でありながらサラリーマンなのです! その時の生活は、今から考えると夢のようでした。
・まず何もしなくても仕事が貰えます。仕事は与えられるものでした!
・機材も与えられます。研修期間もあるので、その間にスキルを身につける事が出来ます!
・仕事をしていない期間にも給料が貰えます! 当然有給休暇もあります。仕事の合間には長期休暇も!
・仕事の進行具合に応じて増員などをしたとしても、ギャラが削られる訳ではありません。
これらの話を先輩作家さん方にすると、皆一様に怒りの色を見せつつ(笑)、どうしてそんな天国のようなところをわざわざ抜け出してきたのか? と訊かれます。これは今となっては自分でもわかりません。あえて例えるなら、「結婚生活に漠然とした憧れだけで安易に飛び込んでしまう様な心境」、とでも言いましょうか?(黒笑)
とは言っても全く後悔はありません。もともと気が多い性格もあり、メーカーやジャンル、業界の垣根を越えてさまざまな仕事が出来ることは、実に新鮮で刺激的です! サラリーマン時代には考えもつきませんでした。「色々と夢を思い描くことが出来るのだから、まさにプライスレスだよ!」と、自分自身を納得させています。

<ゲーム音楽について>
ところで、ゲーム音楽というと、ピコピコ音を連想される方が意外に多いようです。ジャンルとしての「ゲーム音楽」というとそういったものを指す場合もあるかもしれませんが、今実際に使用されているゲーム音楽は全く異なってきています。現在では、従来存在した同時発音数や内蔵メモリの容量などの制約からほぼ開放され、自由な表現が可能になっているからです。
またゲーム自体も進化し、実写と見紛う程のハイクオリティなCGによって壮大なストーリーが描かれています。そのため曲調も映画音楽のようなものを求められるケースが多くなりました。打ち合わせの際に名画のタイトルがポンポン飛び出してきて、「こんな感じで!」と平然と言われてしまいます。こちらは笑顔で「任せてください!」と言いつつ途方に暮れる訳です(泣)。
またオーケストラなどのレコーディングを行う機会も増え、私の場合ですが、今までコンピュータでの打ち込み一本でやってきたものが、最近ではまずスコアを書くようになりました。この辺は時代に逆行しているようで、面白いなぁと思います。

ゲーム音楽の魅力として、ゲーム文化において日本が世界の最先端をいく存在であることが挙げられると思います。フランス語で書かれたファンレターを頂いた時には、世界中の人達が私の曲を聴いてくれているんだなぁ…、と実感出来ました!(当然私には読解できませんでしたので、ファンレターなのかどうか実のところ不明!?)作り手にとって、そういった広く発表できる場があるということは、とても幸せなことだと思います。
また、これからも進化し続ける分野であるという事も魅力的です。このところ次世代ゲーム機が相次いで発表されましたが、やはり胸が躍りますねぇ! 最新映像には衝撃を受けました。サウンド面でも、サラウンドを上手く使用した演出や、マルチストリーミング再生による演出など、まだまだやってみたい事は尽きません!

※マルチストリーミング再生
複数のBGMを同時に再生出来る。それらを切り替え、もしくはミックスさせる事により、状況に応じシームレスにBGMを変化させる演出が可能。

個人としましては、ゲーム以外の音楽にも積極的にチャレンジし、そこで学んだ事をゲームの仕事にフィードバックしていければ、と考えております。まだまだ勉強の日々です。


<近況報告(2005年10月)>
・現在、「モンスターハンター2(ドス)」(CAPCOM)というゲームの楽曲を制作中です。佳境に入って参りました。今回はオーケストラレコーディングに加え、歌モノにも挑戦いたしました。乞うご期待!
・「ファイナルファンタジーXI」(SQUARE-ENIX) の楽曲を演奏する「STAR ONIONS」というバンドの一員として、ライブやアレンジCD制作に参加しています。今後の展開が楽しみです!
・近々、念願の歌謡曲分野にも進出予定です。こちらもとても楽しみ!!


◎甲田雅人(こうだまさと) Profile
国立音楽大学卒業後、ゲームメーカーの株式会社カプコンに入社。作曲担当として数多くの作品に携わる。代表作は、「デビルメイクライ」シリーズ、「ヴァンパイアセイヴァー」等。
03年に退社。その後はフリーの作家として、「モンスターハンター」(CAPCOM)、「ワイルドアームズ ザ フォースデトネイター」(SCEI,MEDIA VISION) 等の楽曲を担当。


※掲載は所属当時

←|今月の作家トップページへ